出雲国風土記・現代語訳:仁多郡

現代語訳

仁多郡(にたぐん)

合わせて郷四〔里一十二〕。

三処郷(みところ) 今も前のままの字を用いる。

布勢郷(ふせ) もとの字は布世(ふせ)。

三澤郷(みざわ) 今も前のままの字を用いる。

横田郷(よこた) 今も前のままの字を用いる。

〔以上の四郷は、郷ごとに里三ずつ。〕

仁多と名付けるわけは、所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ)、大穴持命(おおなむち)がおっしゃられたことには、「この国は大きくもなく小さくもない。川上は木の穂を差し交わし、川下は河志婆布(かわしばふ)が這いわたっている。これは湿地で小さな国である。」とおっしゃられた。だから、仁多という。

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原文

仁多郡

合郷肆 里一十二。

三處郷 今依前用。

布勢郷 今依前用。

三澤郷 本字 三津。

横田郷 今依前用。

以上肆 郷別里参。

所以號仁多者、所造天下大神大穴持命詔、此國者、非大非小。川上者、木穂刺加布、川下者、河志婆布這度之。是者、爾多志小國在、詔。故云仁多。

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