出雲国風土記・現代語訳:島根郡

現代語訳

赤島(あか)。

〔紫菜・海藻がある〕

大埼浜(おおさき)。

広さは一里一百八十歩ある。〔西北に百姓の家がある。〕

須須比埼(すすひ)。

〔白朮がある。〕

御津浜(みつ)。

広さは二百八歩ある。〔百姓の家がある。〕

三島(みつしま)。

〔海藻が生えている。〕

虫津浜(むしづ)。

広さは一百二十歩ある。

手結埼(たゆい)。

浜辺〔二本の檜がある。〕に窟がある。〔高さは一丈、内回りは三十歩ある。〕

手結浦(たゆい)。

広さは三十二歩ある。〔船が二隻ほど泊まることができる。〕

久宇島(くう)。

周りは一百三十歩、高さは七丈ある。〔松がある〕

およそ北の海でとれる様々な産物は、

・志毘(しび)
・朝鮐(ふぐ)
・沙魚(さめ)
・烏賊(いか)
虫居虫者(たこ)
・鮑魚(あわび)
・螺(さざえ)
・蛤貝(うむぎ)〔字は蚌菜とも書く。〕
・蕀甲蠃(うに)〔字は石経子とも書く。〕
・甲蠃(かせ)
・蓼螺子(たでにし)〔字は螺子とも書く。〕
・螺蠣子(かき)
・石華(せ)〔字は蠣・犬脚、或いは犬曠とも書く。犬脚は勢である。〕
・白貝(おう)
・海藻
・海松
・紫菜
・凝海藻(こるもは)

などの類で、非常に種類が多くて、名を全部あげることはできない。

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原文

赤嶋 〔生紫菜・海藻。〕

大崎濱 廣一里一百八十歩。〔西北有百姓之家。〕

須須比埼 〔有白朮。〕

御津濱 廣二百八歩。〔有百姓之家。〕

三嶋 〔生海藻。〕

虫津濱 廣一百廿歩。

手結埼 濱邊。〔有二檜。〕窟。〔高一丈、裏周卅歩。〕

手結浦 廣四十二歩。〔船二許可泊。〕

久宇嶋 周一百卅歩。廣七丈。〔有松。〕

凡北海所捕雑物、志毘・朝鮐・沙魚・烏賊・虫居虫者・鮑・栄螺・蛤貝〔字或作蚌菜。〕・蕀甲蠃・〔字或作石経子。〕甲蠃・蓼螺子〔字或作螺子。〕・螺蠣子・石華〔字或作蠣、犬脚也。或犬曠。犬脚者勢也。〕白貝・海藻・海松・紫菜・凝海菜等之類、至繁、不可令稱。

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